とんぼ玉とは、色文様があり、ひもを通す穴のあいたガラスの玉でビーズの一種です。ひとつひとつ全て手作りで作られ、職人の個性や思いが込められているとんぼ玉には、独特の存在感があります。それは、わずか数センチほどの中に凝縮される小さな美。まるで小宇宙のようなきらめきです。
三千年以上も前の、遥かに遠い古代エジプト王朝の時代より人々の胸元を麗しく飾ったガラスの玉は、その神秘の輝きゆえに、「魔除けの玉」「希望の玉」「願いの玉」として尊ばれました。中でも魔除けの意味を表す「目玉」の模様は、日本人には「トンボの目玉」を連想させ、以来「とんぼ玉」の名で呼ばれるようになったと言われています。
長い歴史の中で、時には高価な宝石以上に扱われ、中世から近世に入るととんぼ玉は交易品として用いられるようになり、16世紀から20世紀初頭にかけて、ヴェネチアをはじめとするヨーロッパ諸国では無数のとんぼ玉(トレードビーズ)を生産し、莫大な利益を得ました。
この頃、とんぼ玉はオランダ船により長崎に運ばれたと考えられ、日本でも長崎をはじめ、大阪、京都、さらに江戸でさかんにとんぼ玉が作られ、かんざしや帯留め、根付などに用いられるようになりました。ちなみに、「とんぼ玉」は漢字で書くと「蜻蛉玉」と書き、欧米語では、「glassbeads」(グラスビーズ)と書きます。
帯留めやかんざしから、今では、ネックレス、ストラップ、ブレスレッドなど、ファッションアクセサリーの一部としても注目されています。また、とんぼ玉の美しさから、そのままオーナメントとして飾ったり、古い希少なとんぼ玉は、コレクターの間で大変な金額で売買されているそうです。
「着物」という独特な民族衣装を着ていた日本では、長い間「首飾り」の風習がなかったために、とんぼ玉」の知名度も今ひとつでしたが、ここ数年の日本のとんぼ玉作たち達の「技術」は世界的にも優れたレベルといえます。